土地購入は、家づくりの第一歩となる重要なステップですが、気をつけるべきポイントを見逃すと後から大きな問題に直面することがあります。ここでは、土地購入時に知っておくべき「落とし穴」を解説し、安心して土地を選べるようサポートします。
目次
1. 土地購入時に必要な経費は?
土地購入時には、土地代金以外に必ず発生する諸費用があります。これらを見落とすと、予定していた予算を超えることになりかねません。
<主な諸費用一覧>
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仲介手数料
不動産会社を通じて土地を購入する場合に支払う手数料です。- 計算方法:土地代金 × 3% + 6万円(+ 消費税)
- 例:土地代金1,000万円の場合 → 36万円(+ 消費税)
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登記費用
土地の所有権を買主に移すための「所有権移転登記」や、住宅ローンを利用する際の「抵当権設定登記」にかかる費用です。- 費用目安:15万〜30万円
- 司法書士に依頼する報酬も含みます。
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印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙代です。契約書の金額によって税額が決まります。- 例:土地代金1,000万円の場合 → 印紙税5,000円
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ローン手数料
土地代金をローンで支払う場合、融資手数料や保証料が発生します。- 保証料目安:借入額の2〜3%(例:2,000万円の借入で約40〜60万円)
2. 【法律・規制】建築できない土地かも?
土地には「用途地域」が定められており、地域ごとに建築できる建物の種類が決まっています。この用途地域を誤解していると、住宅を建てる予定が不可能になることもあります。
例えば、自宅でカフェを経営したいと考えていたとき「店舗併用住宅」の建築は第一種低層住居専用地域ではNGになる場合があります。
① 用途地域の確認
土地には「用途地域」が定められており、地域ごとに建築できる建物の種類が決まっています。この用途地域を誤解していると、住宅を建てる予定が不可能になることもあります。
用途地域の主な種類
- 第一種低層住居専用地域:戸建住宅が中心のエリアで、静かな住環境が保たれる。建築物の高さや建ぺい率に厳しい制限がある。
- 準住居地域:住宅と一部商業施設の建築が可能。静かな環境を求めつつ利便性を重視する人に人気。
- 工業専用地域:工場のみが建設可能な地域で、住宅は建築不可。
② 建ぺい率・容積率の制限
土地には「建ぺい率」と「容積率」の制限が設けられています。これを誤解していると、希望する広さの家を建てられない可能性があります。
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建ぺい率:敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合を指します。
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容積率:敷地面積に対する延床面積(建物の総床面積)の割合を指します。
<注意点>
建ぺい率や容積率が低い土地では、広い家や多階建ての家が建てられない場合があります。また、道路幅に応じて容積率が制限されるケースもあるため、現地調査と設計段階で慎重に確認が必要です。
③ 再建築不可物件
「再建築不可物件」とは、建物を取り壊した後に新たに建築ができない土地のことです。このような物件を購入してしまうと、古家のリフォームや用途変更しか選択肢がなくなる可能性があります。
再建築不可の理由として、例えば、接道条件を満たしていない場合などがあります。
3. 【地盤・環境】隠れたリスクに注意
土地を選ぶ際には、地盤の強さや周辺環境のチェックが欠かせません。見た目には分からないこれらのリスクを見逃すと、建物の安全性や住み心地に大きな影響を及ぼします。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
① 地盤の強さ
土地の地盤が強固でない場合、建物の沈下や傾きといった重大な問題が発生する可能性があります。これらのトラブルを防ぐには、購入前に地盤の状態を調査することが重要です。
<地盤の弱い土地の特徴>
- 埋め立て地や元沼地だった場所
- 川や湖の近くで、地質が砂やシルト(細かい土壌)で構成されている場所
- 傾斜地や造成地である土地
<地盤調査の重要性>
建築前には必ず地盤調査を行い、地盤の強度や支持力を確認します。調査結果によっては地盤改良工事が必要になる場合があります。
<地盤改良工事の種類と費用>
土地購入後に改良工事が必要なことが発覚すると資金計画も変わってきます。
- 表層改良(浅い地盤を固める方法):50〜100万円程度
- 柱状改良(深い地盤まで柱状の支持層をつくる方法):100〜300万円程度
- 鋼管杭工法(杭を地中深くまで打ち込む方法):300万円以上
② 水害・地震リスク
自然災害によるリスクは、長期的な安全性を考えるうえで非常に重要です。特に日本は水害や地震が多い国であるため、購入前のリスク確認が欠かせません。
<水害リスク>
土地が水害リスクの高いエリアにあると、豪雨時の浸水被害や洪水被害が懸念されます。購入前に以下を確認しましょう。
- ハザードマップ:市町村が提供するハザードマップで浸水予想区域を確認する。
- 過去の水害歴:近隣住民や役所に問い合わせて、土地周辺で過去に水害が発生したことがあるか確認。
<地震リスク>
土地の地震リスクは「地震危険度マップ」や「活断層マップ」で確認できます。特に液状化の可能性がある土地は要注意です。液状化が起こると建物が傾いたり、地中の配管が破損したりする可能性があります。
<対策方法>
- 浸水対策:土地を嵩上げ(かさあげ)する、排水設備を整えるなどの対策。
- 耐震性の向上:地盤改良工事や地震に強い基礎工法を採用することでリスクを軽減できます。
③ 周辺環境のトラブル
周辺環境は土地の価値や住み心地に直結します。購入前にしっかりと現地調査を行い、周囲の状況を把握しましょう。
<近隣トラブル>
土地購入後に、近隣住民とのトラブルが発生すると快適な暮らしが難しくなります。以下の点を確認してください。
- 騒音:近くに工場や幹線道路がある場合、昼夜問わず騒音が発生する可能性があります。
- 嫌悪施設:パチンコ店やゴミ処理施設が近隣にあると、生活環境に悪影響を与えることがあります。
- 近隣住民の雰囲気:現地を訪れて、住民同士の雰囲気や街の様子を観察しましょう。
<昼夜の環境チェック>
土地の印象は昼と夜で大きく異なる場合があります。昼間は静かでも、夜になると交通量が増える道路や騒がしい店舗があることも。
また、雨の日に訪れると排水状況が確認でき、水はけの悪い土地かどうかが分かります。
<周辺の利便性>
周辺環境には利便性も重要です。スーパーや病院、学校、交通アクセスの状況を実際に確認しましょう。
4. 【費用】想定外のコストに要注意
土地購入時に「土地代金」だけを考えて予算を組むと、後から想定外のコストに驚くことがあります。ここでは、土地代金以外に発生する代表的な費用について詳しく解説し、予算オーバーを防ぐためのポイントを紹介します。
① インフラ整備費用
購入した土地が未整備の場合、インフラの整備に多額の費用が発生することがあります。特に上下水道やガス、電気などのインフラが整っていない場合は注意が必要です。
<主なインフラ整備項目と費用例>
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上下水道の引き込み
公道から敷地まで上下水道を引き込む工事費用です。- 費用目安:50万〜200万円
- 道路を掘削する場合、工事が大掛かりになるため費用が高くなる傾向があります。
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ガスの配管工事
都市ガスが敷地に通っていない場合、引き込み工事が必要です。- 費用目安:20万〜50万円
- プロパンガスを利用する場合でも、初期設備費用がかかる場合があります。
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電気工事費用
電力会社への申請や電柱・配線設置が必要な場合があります。- 費用目安:10万〜30万円
<確認方法>
- 購入予定の土地がインフラ整備済みか、不動産会社に必ず確認しましょう。
- 整備が必要な場合、工事費用や施工スケジュールについて事前に見積もりを依頼してください。
② 固定資産税
土地を購入すると、その翌年から固定資産税が発生します。これは毎年かかる費用のため、土地購入後の維持費としてしっかり計画を立てる必要があります。
<固定資産税の計算方法>
- 固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
- 固定資産税評価額は実勢価格よりも低く設定されていますが、土地の広さや場所によって税額が変動します。
<注意点>
- 広い土地や都市部の土地では、想定以上に税金が高くなることがあります。
- 例えば、評価額が500万円の場合、固定資産税は年7万円ほどになります。
<軽減措置>
住宅を建てると固定資産税が一部減額される場合があります(例:住宅用地特例)。購入後、建築スケジュールを早めることで節税が可能です。
5.【契約】見落としやすい契約の注意点
土地購入契約時には、条件や細かい項目を見落とすとトラブルや予期せぬ不利益を被る可能性があります。ここでは、契約時に特に注意したい3つのポイントを詳しく解説します。
① 境界線トラブル
土地購入後に、隣地との境界線が曖昧でトラブルになるケースは少なくありません。境界線の不明確さが原因で、後から隣地所有者との交渉や裁判に発展することもあります。
<境界線トラブルの主な原因>
- 境界杭が設置されていない
- 測量図や公図が古く、実際の境界とズレがある
- 隣地所有者との境界確認が行われていない
<確認方法と対策>
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境界杭の有無を確認
現地を訪れて境界杭がしっかり設置されているか確認します。杭がない場合は、隣地所有者立会いのもと測量して設置します。 -
測量図の確認
売主や不動産会社から最新の測量図を提出してもらいましょう。古い測量図ではズレが生じる可能性があります。 -
隣地所有者との立会い
境界確認を隣地所有者とともに行い、境界確認書を作成しておくことで、後のトラブルを防げます。
<注意点>
測量や境界確認の費用は買主が負担する場合が多いため、事前に費用を見積もり、予算に組み込んでおきましょう。
② 建築条件付き土地
「建築条件付き土地」とは、指定された工務店や建築会社で家を建てる契約がセットになっている土地のことです。これにはメリットもありますが、自由度が制限されるため注意が必要です。
<メリット>
- 建築会社が決まっているため、土地購入後の手続きがスムーズに進む
- 土地と建物をセットで計画することで、全体の費用感を把握しやすい
<デメリット>
- 自由に建築会社を選べない
- 間取りやデザインに制約があることが多い
- 建築費用が相場より高くなる場合もある
<確認ポイント>
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契約内容の詳細を確認
建築条件付き土地の場合、どの工務店や建築会社が指定されているか、建物のプランや費用について具体的に確認します。 -
契約解除の条件を確認
建築条件を解除する場合には費用が発生するケースもあります。契約解除条件や解除費用を事前に確認しておきましょう。 -
他社の比較を行う
指定された建築会社だけでなく、他社のプランや費用と比較検討することで、条件が適正か判断できます。
③ 手付金の取り扱い
土地購入時には、契約の一環として「手付金」を支払うことが一般的です。この手付金の取り扱いについて理解しておかないと、不利な状況に陥る可能性があります。
<手付金の主なポイント>
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契約解除時の返金条件
- 買主都合で契約を解除する場合、手付金が返金されないことがあります(手付解除)。
- 売主都合で契約を解除する場合、手付金の倍額を買主に返還することが一般的です。
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金額の確認
- 手付金は土地代金の5〜10%が相場です。高額すぎる場合は不動産会社に相談しましょう。
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支払い方法と保全措置
- 手付金の保全措置が取られていない場合、万が一売主が倒産した場合に返金されないリスクがあります。
<確認ポイント>
- 契約書に記載されている解除条件や手付金の取り扱いについて、疑問点があれば事前に確認しておきましょう。
- 手付金の支払い後は必ず領収書を受け取り、大切に保管してください。
まとめ
土地購入時には、見えないリスクや費用が潜んでいることがあります。それらの「落とし穴」を事前に把握し、正確な情報と慎重な計画で対策することが大切です。
加度商では、土地選びや資金計画、現地確認のサポートも行っております。土地購入についてお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください!
※2025年1月時点での制度に基づきます。